成年後見とは
成年後見制度とは、判断能力が不十分なために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で支援する、身近な仕組みです。
不動産を売却して入院費・生活費に充てたいと家族が考えても、本人が認知症であれば売ることができません。また、認知症であれば相続の際の遺産分割行為もできません。成年後見制度を利用すると、後見人が認知症の本人の法律行為を、本人の利益のために行います。
ですが…成年後見制度を利用することによるデメリットもあるのが事実です。たとえば一度後見人が選任されると、病状の回復以外に後見人をやめることはできないとか、後見人になった親族の方は年に1回、家庭裁判所へ報告書を提出しないといけません。
まずはご相談下さい。 90分程度じっくり、ゆっくり しっかりお話をお聴きいたします。 初回相談は無料です。 |
お話を聞かせて頂いた上で、メリットデメリットを説明させて頂きます。
たとえばこんな時に成年後見制度を
・認知症の母の不動産を売却して父の入院費にあてたい。
・認知症の父が使うはずもない高価な家具や健康器具などをついつい買ってしまう。
・認知症の母が遠方で一人暮らし
・父が死亡して遺産分割協議をしなければならないが、相続人の中に判断能力のない方がいる。
・認知症の父の不動産についている住宅ローンの利息が高いため、金融機関での借換えをしたい
成年後見の種類
成年後見には次の二種類があります。
法定後見
「法定後見制度」は、認知症や知的障害・精神障害などにより、判断能力が不十分な人を対象としている制度であり、すでに認知症の症状のある方や、判断能力が低下した方のための制度です。
不動産の売却等、法律行為をする際には判断能力がなければならないので、ご本人の状態により、後見、保佐、補助(判断能力の低い順)のいずれかを選択します。
後見人等は家庭裁判所が選任します。
任意後見
「任意後見制度」は、現在はしっかりしているけれども、将来、判断能力が不十分になったときに備える制度であり、現在元気な人のための制度です。
将来認知症等になってしまうかも、と不安に感じている方が、元気なうちにあらかじめ信頼できる人に後見人になってもらうことを約束し、いざ発症したときに家庭裁判所で手続きをすることになります。後見人は自由にご自分で選ぶことができ、公正証書で契約をします(公正証書作成手数料がかかります)。認知症になってからの老後の過ごし方やご自分の財産の使い方を予め契約で自由に決めておくことができます。ご本人の判断能力が低下した時に、家庭裁判所で所定の手続きを経て後見が開始します。
成年後見の申立ての方式
(申立先)支援を必要とする本人の住所地を管轄する家庭裁判所
(申立できる人)本人、配偶者、4親等内の親族等
※身寄りのない方の場合は、市町村長に申立権が与えられています。
(必要なもの)申立書、戸籍謄本、住民票、医師の診断書、その他
(候補者)親族、知人の中に後見人等にふさわしい人がいる場合(申立人でもよい)、申立ての際に、申立書に記載します。家庭裁判所がその人を適任者と認めれば、候補者がそのまま選任されます。候補者が必ずしも選任されるわけではありません。申立時に候補者がいない場合や候補者が決まっていない場合は、家庭裁判所の判断で後見人等が選任されます。
(同意)補助開始の審判をするには本人の同意が要ります。
申立の費用(例)
申立手数料
1件800円の収入印紙
登記手数料
2,600円の登記印紙
予納郵券
後見開始 2,800円 保佐(補助)開始 3,800円(各家庭裁判所で異なります))
後見人等に対して支払う報酬について
法定後見
後見人等に支払う報酬は、裁判所が決めた額です。1年に一回、本人の財産の中から支払うことになります。
任意後見
任意後見人に支払う報酬は、契約で決めた額です。